好きで好きで仕方がないことを生業にしている方のお話は、とにかく面白いです。
作家さんにお会いするといつも感じるのですが、
近藤亮介さんのお話は、とにかく面白いです。
初めてお会いしたのは、6月の『にわのわ』で、あまりに面白くて「7月に工房へ行きます!」と宣言し、この度行って参りました。
奈良の山間部の集落に工房はあります。
薪窯を焚くと煙が出ます。そして窯焚きに必要な薪を調達するには、適した立地なのです。
「自分は何も教えないから」と、師匠にいきなり轆轤を与えられた修行時代や、海外の陶工と過ごした青森の窯元での日々など、話は尽きません。
そして最高に面白いのは、自ら原土を採取して土作りから行う作陶のお話です。
採取、土作りの手間を掛けても、出来上がりがどうなるかはわかりません。
とても原始的で、陶芸史の黎明期のようです。
「面白いからできる」とのことですが、これは大変です。
薪窯を焚くと、どうしても上手く焼けない形があるのだとか。うつわの長い歴史の中で、現在あるうつわの形ができているのには、『使う』だけでなく『作る』時の都合が大いにあるのが見えてくるそうです。
こんな近藤さんですが、薪窯に固執しているわけではありません。「当たり前のものを作りたい」ただそれだけの思いで、日々作陶されています。
昔のものの良さを学び、考え、作り続ける姿勢に、深く感じ入り、
名残惜しいですが工房を後にしました。
これからも面白いお話を、楽しみにしています。